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退屈は嫌いか?

【感想】ボヘミアン・ラプソディは歴史資料、期待しすぎない方がいい

ボヘミアン・ラプソディが熱いらしい

そんな話を巷で耳にした。ある時はラジオの中で、ある時は友人が語った。若者にも人気で、クイーンを知らない友人も賞賛するほどだった。

通常、映画というのは公開初日が最も観客動員数が伸びてそのまま右肩下がりになるものだ。だが、ヒットした映画は違ってその後も右肩上がりで伸びていくのだ。『君の名は。』などが例に挙げられる。

一度SNS上でのバズりや周囲の人間が高評価をつけると、連鎖反応のように見に言ってしまう人が多い。

第一、失礼かもしれないが『君の名は。』なんて老夫婦が見るような内容ではない。個人的にはいつもの新海誠節が、少しダイナミックになった感覚なのに最終的には言の葉の庭とはえらい違いになったことに、インフルエンサーの恐ろしさと、日本人の流行りもの好きが及ぼす経済効果は計り知れないと思った。なんだか批判的ととられるのは胃なので断っておくと、私は新海誠監督を敬愛していますし、同氏の作品は全部買って持ってます笑。

 

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去年、国内で公開映画でトップとなる興行収入100億円を突破。

 

期待はずれの原因は自分にある

この映画を僕は公開されてからだいぶ後になって見に言った人だと思う。当然先ほど言ったブームに乗ったのだ。私はそもそも、最新作は予め目星をつけて公開初日に行ってしまうし、それ以外はプライムやNetflixに安住してしまう。世間の評価やメディアの報道が明らかに自分のこの映画に対する期待値を上げすぎていたのかもしれない。

 

今作は言わずと知れた、伝説のバンド「クイーン」のボーカル、フレディ・マーキュリーの半生を描いたドキュメンタリーというか伝記に近い映画だ。やはり決定された過去を映像化するに当たって、資料も膨大かつ正確性が求められた。配役を探すにも大変苦労したという。そんな本作を自分は良い音響の映画館でしっかりと2時間弱見続けた。非常にあっという間だったことを記憶している。

 

結論から言おう

面白いが期待するほどのものを感じなかった

というのが正直な答えだった。本当に面白かったし、クイーンの曲は映画内でかかる曲もほとんどわかったし熱かった。何よりも伝記モノの映画で一番良い『かっこよさ』が非常に出ていたと思う。人生はドラマだ。とはよく言ったものだが、実際に有名人の人生を映像化するのは監督の技量にかかっている。下手をすれば単調で眠たくなってしまうし、脚色しすぎると元々のファンに怒られてしまう。今作はそう言った匙加減は素晴らしかったし、フレディ・マーキュリーという人間が非常に魅力的に映っていた。

 

でも自分がこう言った伝記モノに合わないことと、クイーンを無知であることのディスアドバンテージが大きく、私の中での評価がイマイチとなってしまった。

やはり流行りの映画に見にいくと『なんでバズってるんだろう』と思って見てしまう。美女と野獣やジュラシックワールドはおかげで眠たくなってしまった。そう言った余計な先入観が純粋な映画を楽しんだり、心に残りやすさを減らしてしまっているのだと思う。これは自分が悪い。

 

 

本作を見てて思ったこと

文章構成能力がないので半箇条書きみたいになりますがお許しください。

 

物語的な場面の大きな転換というよりは人の感情の機微や視線など、外部性ではなく今作は内部性を描写し続けることに意味を置いている。それを音楽という形で、登場人物が吐き出すことで、重みや葛藤、そしてそれらを超えた景色のようなものを視聴者は見て聴くことができる。

 

面白いところとして、今作は伝説のバンド"クイーン"という題材だからこそ、みんなの知っている曲に、その制作バックグラウンドをドラマティック見せることで、知っている曲+αで終盤から誰でも盛り上がれる点だと思う。この映画を見る若い人と言っても大学生高校生であればその親がちょうどクイーンが日本でバズってた頃に合致する。タイミングとしては制作がズレたものの、ベストな時期だったと思う。

 

そしてマイケルジャクソンのThis is itの時にも思ったが

アルバムを買って聴きたくなる映画

に仕上がっていると思う。事実、クイーンのアルバムのチャーとが上がっている。

 

ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

 

 

 

それと、絶対映画館で見てくれ!!

 

家に素晴らしいオーディオセットがあって爆音で流せる環境ならば良いが、今作は音楽ありきの映画といっても過言ではない。ラストのライブはきっと映画館で見てよかったなと思える出来栄えだ。絶対見るなら映画館で間違いない!!

 

 

 

結局お前はどっちなんだ

歴史資料と言い、イマイチとか言っておきながら最終的に、音楽を聴きたくなったり、映画館で見ることを勧めたりするなどブレブレだが、映画自体は屈託のない出来だと思う。

ただ、物語重視て見てしまう自分としては序盤の駆け足感が気になったが、この映画が伝えたいところは中盤以降にあるという解釈で納得がついた。それほど後半のテンポの良さに取り憑かれていたのかもしれない。

 

これを機にしばらくはバズる映画は控えようとも思っている。やはり自分にはNetflixやプライムで探っていたら見つかった黒い原石のようなマイナー映画が、実はダイアモンドを掘り当てていたような喜びを得られる名作だった方が楽しく感じてしまう。

 

忘れた頃にこの映画を見た時に、本当に評価できる日が来るかもしれない。

 

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