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退屈は嫌いか?

シリーズファンから見るドラゴンクエスト11 S とドラゴンクエスト12のヴィジョン

ドラゴンクエストシリーズは長い歴史を辿ってきたが、ドラゴンクエスト11とドラゴンクエスト12(仮称)は、まさに過渡期にあると先日のトレーラーを見て感じた。

 

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前々から噂されていてようやく正式なトレーラーが出た11S

目次

 

 

ドラゴンクエストの製作者の限界

ドラゴンクエストシリーズを愛する人、もしくは3作品以上やったことがある人なら、少しは耳に挟んだことがあるかもしれないが、ドラゴンクエストのナンバリングタイトルは三人の柱となるメンバーが、常にシリーズの根幹を支え続けてきた。

 

堀井雄二さん

すぎやまこういちさん

鳥山明さん

 

この三名もシリーズが30年以上も続けば、シリーズ開始時にはバリバリの現役だった人達も、やがて歳をとり全盛期のようなエネルギーを出すのは限界が出てしまう。

実際に年齢を調べるとわかる通り、上から65歳、87歳、63歳。特にすぎやまさんはかなりのご高齢であることがわかる。

 

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ちなみにDQ10はver2からディレクターが齋藤力さんに代わっている

実際、近年リリースのナンバリングタイトルでは過去の曲がかなり挿入されていたり、キャラクターデザインも少しネタが切れてきていることは察してしまう人もいるかもしれない。しかし、長編シリーズ特有のわかりやすいマンネリ化は起こっていないのだ。

最近絶不調のスクウェアエニックスにおいて、コケることの少ないコンテンツとしてドラクエが成り立っているのも、開発メンバー強いては根幹を支えた3人の力なのかもしれない。

 

ドラゴンクエストはいつだって「らしさ」を残し続けてきた。ファンも上記の三名のドラゴンクエストを楽しんできたし、今後も望んでいるわけだ。

 

 

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鳥山明氏の絵もCG技術の向上で、絵に近いモノを動かせる時代

 

まだまだ3人に作って欲しい!!  という気持ちもわかるが、正直かなり限界にきていることを感じ取って欲しい。むしろ三者が制作に関わっている今こそ、シリーズの代替わりをゆっくりとしていくべきだと自分は考える。

 

例えば、同社のファイナルファンタジーシリーズではシリーズ10作目までディレクターを務めた坂口博信氏や音楽を手がけてきた植松伸夫氏がいなくてもシリーズが続いている(その人気が続いてるかは別として)

そうするとファンからは「坂口さんのいないFFはFFじゃなーい」とか言われるわけだ。おそらくドラゴンクエストでも同じようなことを言う人が現れてもおかしくないし、その声が大きくなっていくのが現状怖いと言うのもあるかもしれない。

もしも、堀井雄二さん含む三名が全く関わらないドラクエが出されたとして、コケたとしよう。間違いなくシリーズファンの信頼に関わるし、コケなくとも往年のファンは少し不服に思うかもしれない。

 

最新作のドラゴンクエスト11は幅広い年代や性別関係なく買っていることがわかっている。30年間で築き上げてきたユーザーとクリエイターの信頼関係が、今まさに問われている。だからこそ、今は静かな過渡期だと私は思う。

 

 

 

 

ドラゴンクエスト11 S はナンバリング初の声付き

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ドラゴンクエストは基本的に主人公=自分ということを一貫している。故に主人公は選択肢くらいで、ほぼ喋ることはない(少しあったけど)。

そして、この平成の終わりになっても、黒い吹き出しに白い文字が並び、町の人や仲間も声はついていなかった。それが ”ドラゴンクエストらしさ” でもあるし、ファンも満足していたと思う。

 

しかし、久々のPSハードでのドラクエである「ドラゴンクエストヒーローズ」で、ついに歴代キャラクター達、そして主人公までもが喋り出した。

 

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大幅なヴィジュアルの進化に伴った、声の追加に波紋

確かに、アクション性が重視されるヒーローズにおいて、字幕として吹き出しが出てポロロロと文字が並んでは見づらいし、テンポが悪い。しかし、ファンにとっては声がつくということにアレルギーが出てしまう人すらいる。

「俺のアリーナは、もっと〇〇な感じだった!!」とか「クリフトはこういう感じだろ!?」といった風に、いくらでも意見が飛んでくる。これは小説や漫画のアニメ化や映画化と似たような現象で、声優や配役を決めたサイドも考えてつけているはずだ。気持ちはわかるが、自分の想像と違うからといって公式の判断をディスったところで、変更はないと思っていい。

私はそう思うし、ドラクエの声優は調べればわかるが、非常に豪華で若干の違和感があっても、場を盛り上げてくれることは間違いないほどの声優陣が揃っているのだ。

 

そうしてシリーズの人気キャラ達に続々と、声がついていく中で最新作であるドラゴンクエスト11もボイスがついたことは必然と言える。

私はこの動き大賛成だ。理由としては2つある。

 

  • 3D版のグラフィックスはシリーズトップレベルで美しい上に、声がついていないことに違和感が出るレベルになってしまった。
  • 初めて遊ぶ人は、最近の当たり前のようにボイスがつく他のゲームと比べて、手抜き感を感じてしまう人もいるかもしれない。

 

「らしさ」を残すがあまりに時代錯誤に取られてしまう可能性すらあるのだ。もちろん往年のファンのためにボイスの切り替えは可能なようだが、なぜ最初から11をそうしなかったのか疑問ではある(完全版商法というやつか)

 

11はシリーズの中でもかなり優れたストーリーだったので、これが声がつくことによって、より一層のドラマティックな演出が可能になるだろう。FFだってシリーズ初のボイスがついたFFXでは多くの人が涙した理由に、声がついたというのは大きいだろう。

ドラクエはあえて声をつけずに残してきた。それはファンが止めていたということも同じ様に言えるのだ。

 

 

 

 

 今後のドラクエは変わっていく

 

 ドラクエ11の販売本数は国内だけでは黒字化できない話を聞いたことがあるだろうか? 今や、あの国内で数百万本売るドラクエですら膨大な開発費を回収できないほどなのに、国内の古株ファンというマイノリティに満足してもらう製品開発は間違っている。

 

 そういった海外市場を視野に入れた続編の開発と、製作陣トップの交代を迫られている中で、11はゆっくりとその変化に着手している。国内と海外で主人公の挙動が違ったり、ボイスを海外では先行して付けていたりなどなどある。

 

 

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「らしさ」の厳選が行われていくことは間違いない

 そんなドラクエ11は海外での評判も良い。古き良きJRPGでありながらも、そのボリュームやグラフィックスが海外受けしたのもあるだろう。

 

今後はドラクエは「らしさ」を失うのではなく、減らすことをしていく。もしかしたら12ではキャラにボイスがついてオンオフができるかもしれないし、ターン制のバトルを廃止してFF13の様なアクティブなターン制を採用するかもしれない。

 

だけど、どうか毛嫌いしたり、不買運動したりしないで欲しい。 長期シリーズに変化は付きものだし、11で旧来のドラクエシステムで表現できることは現状やりきったと思う。

 

我々を新しい冒険へ旅立たせてくれる日は近いかもしれない。