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退屈は嫌いか?

【感想】レッドデッドリデンプション2 は神ゲーか糞ゲーか? 明暗を分けるのはたった一つ。

この記事ではゲーム序盤の話はあれど、ネタバレはほぼありません。安心して閲覧してください。

 

7年間お待たせしました。RDRの続編が遂に発売

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芸人の有吉さんが好きなことでも有名なレッドデッドリデンプションは西部開拓時代のアメリカを舞台とした、箱庭アクションゲームであり、グランドセフトオートで有名なオープンワールド作りのプロ集団ロックススターが手がけている。

大まかなゲームの説明は省き、今作の現在の数字だけ並べておこう。初週売り上げはパッケージだけで13.2万本、世界では1000万本を超えており、RDRの売り上げを塗り替えている。メタスコア(海外のゲームレビュー特典)では驚異の97というスコアを叩き出しており、二万日にも及ぶモーション撮影や1200人の声優を起用したりなど、今年でたどのゲームよりもぶっ飛んでいる。

 

このゲームの評価を分けるたった一つのポイント

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このゲームが面白いのは売り上げや海外の評価に反して、日本のアマゾンのレビューが両極端であることだ。アマゾンのレビューはネガキャンの可能性もあるが、的を得ている意見も多くあり、非常に正直な答えだと思っている。

 

レッド・デッド・リデンプション2【CEROレーティング「Z」】 - PS4

レッド・デッド・リデンプション2【CEROレーティング「Z」】 - PS4

 

 

このゲームは全ての行動に時間をかけるゲームである。

 

この前提がこのゲームを遊ぶ上で非常に重要になってくる。このゲームがはまる人間は。よく言われている映画好きでも西部開拓期オタクでもない人が多い気がする。

逆に言えばいくら西部開拓劇が好きだったり、ロックスター及びオープンワールドが好きなゲーマーでも上記のような前提に耐えられなければ、すぐにディスクはメルカリ行きだ。

 

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このゲームのほとんどは移動時間に費やされており、私は現在ゆったりプレイで進めているが、そのほとんどを馬の上で過ごしている。このゲームにはいわゆるファストトラベルという、広い箱庭ゲーには欠かせないマップをワープするシステムが非常に使いづらくなっている。拠点から一方通行にしか移動できなかったり、ゲーム内の通貨を払って電車や馬車で移動するしかないわけだ。馬に乗り移動している間も決して車のように早くはないし、急な段差や鬱蒼とした雑木林に突っ込んで近道しようとすれば馬を傷つけて、最悪移動手段である馬が死んでしまうことすらある。おまけにGTA見たく移動中にBGMを好きなようにかけたりも出来ない。

 

とは言え、ロックスターである。移動時間が全く面白くないか?と言われれば嘘になってしまう、美しいグラフィックの山々や空の雲を眺め、目の前を行く動物たちを狩ってもいいのだ。鬱蒼とした雑木林の中に見える小屋に行けば、そこで暮らす人間と会うことがあるかもしれないし、既に廃墟となっており、消えた者たちの遺品を漁ってみても良いだろう。夜が来たらキャンプを立ててコーヒを淹れても良いし、道端で出会うランダムミッションを解決するのも一興だ。このようにロックスターは当時の移動のリアリティを追求しつつ、ゲームとしての移動の楽しさもシネマティックに再現している。

しかし、それらは最も最初に立てられた目標(欲求)ではなく、それとは別の関係のない時間とも言えるわけだ。要は気づいたら釣りをしていたり、山に行ってしまうような人はこのゲームに適しているわけだ。

 

クソゲーと叫ぶ人はゲームをするのにまとまった時間が取れない人だ。週末に数時間できればそれで十分! という人や月に数回やる程度の人はこのゲームに合わない人が多いと思う。そういう人はストーリを早く追いたいだろうし、やれることが多い移動時間でもキビキビは動かないし、操作していて決して気持ちの良いゲームでもない。最近の国内は10年前と比べ物にならないくらい洋ゲーが売れるが、それはゲーム性がとても和ゲーに似ているのもあるだろう。スピード感や操作の気持ちよさ、爽快感。それでいてグラフィックが綺麗なんだから申し分はないはずだ。スパイダーマンやCOD:BO4の国内での異常な人気はそこにあると思う。国内のPS4ユーザーのマジョリティはこうした、ゲームとしてのテンポや少ない時間でより濃密な体験を求めている。

 

 

RDR2はある意味洋ゲーの古典

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ゲーム序盤の雪山は非常に評価が分かれる

このゲームは先述の通り、非常に動作がもっさりしており、現実的なモーションや動作をしていく、急な崖があったら滑り落ちるし、深い雪の上では雪に足を取られて走ることもままならない。壁を走ったり、とてつもない速さでスライディングを決めたり、ローリングして回避したりも勿論しないのだ。

リアリティを求めるロックスターの姿勢はPS2のGTA3から変わってはいないが、ここまで追求したのは今作だからこそなのだろう。序盤の雪山の3時間近いチュートリアルは非常に長く、ここがつまらないと感じる私のような人もいると思う。何よりも長すぎて、操作説明を受けている場面なのか、このゲームのゲーム性を見せている場面なのかも忘れてしまう。オープンワールドゲームなのに、ギャングの一員として、集団行動を心がけなければならないのが、この数時間で終わった時プレイヤーは、えも言えない開放感に目覚めるだろう。とは言え長すぎだ、個人的にはスカイリムのチュートリアルが長すぎず短すぎずちょうど良いので見習って欲しかった。とは言え、序盤から映画のようなムービーとロードを挟まない一連のアクションは目を惹く。

 

このゲームは洋ゲーの古典である。本来の洋ゲーはこうだった。と懐古厨のようだが、洋ゲーとしての正統進化はここにあると思う。ゲームらしさ<<<<現実らしさ というのが洋ゲーだった。最近のアサシンクリードスパイダーマンがある意味異常だったとも言える。

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RPG要素もあり、動作もサクサク動く

それは決して、RDR2を褒め称えるための卑下ではないのだ。間違いなしにゲームとしての進むべく方向性は間違っていないし、ゼルダの伝説BOTWの空前の大ヒットがそれを証明している。今作が非常に興味深いのは ”ゼルダの伝説 BOTW" というオープンワールドを再提案したゲームを全くと言っていいほど真逆のゲームを作ったという点だ。ここが私がロックスターが好きな理由でもあるし、彼ららしいとも言える。

ロックスターはいつでもオープンワールドの次世代を提供してきたと思う。GTAシリーズも圧倒的なまでの街の存在感を強めるためにグラフィックスやNPCは当時の最高水準を用意し、主人公のリアルタイム交代や、衣食住による体型の変化など現実性を損なわずにゲーム性についても提案し続けてきていたのだ。ところが、それを近年Witcher3 さらにはゼルダの伝説が、箱庭に新しい手法で、没入感や楽しさを再現していた。これらのゲームは多くの開発会社に影響を与え、レビューも国内外問わずに絶賛されていた。

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現実的である必要はない、操作の気持ち良さだ。

ゼルダに関しては、操作の気持ちよさと計算され尽くされたマップだと思っている。さすがの任天堂であり、ほぼ誰がやっても面白いゲームだ。自由度とゲーム性が完璧なまでにレベルデザインで完成されている。

ロックスターの中でもこのゲームを遊んだ人は沢山いるだろうし、影響を考えてはいると思う。でも彼らは7年前の構想か、それとも敢えてなのか、よく言えば王道を行く正統進化を遂げた。悪く言えば全くと言っていいほど挑戦はしていないと思う。今まで見たことないゲームではないし、近年出たFF15やウィッチャー3、MGSVなどをやっていればいくつかの既視感に出会うだろう。GTAVの時にゲームらしさを意識した残り香はあったが、今作はハッキリ言えばゲームということを忘れさせる要素であふれている。

洋ゲーの古典として彼らは、彼らなりの次世代への答えなのか、ゼルダが出た頃に既に手遅れだったのかは定かではない。とは言え、世界中で売れているということが一種の消費者の正直な反応である。壁をよじ登りどこでも行けるわけでもないし、動物を狩っても急に肉片になったりもしない。何気なく見えた山の上に何かあることを期待してはいけないのだ。彼らは相変わらず ”世界” を作ることをやめていない。ゼルダやウィッチャーやFalloutでも勿論個々の世界を作っていたが、圧倒的な物量と時間と開発費がこのゲームのありありとした世界を作り出しているのだ。

 

私はこういうゲームが大好きだ。

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ここからは率直に感想を書いていく、このゲームが私は大好きだ

非常に時間のかかる収集要素や理不尽な懸賞金システムなどがあって100点満点ではないものの、ゲームとして素直に面白いし、時間とお金をかけて丁寧に作られていることがわかる。自分が干渉していく世界は決して作り物ではなく、世界からレスポンスがあるのもまた良い。例えば、数日前に殺した人間の報復を大量のギャングが襲ってきたり、前に会った人と出会うと挨拶をしてきたりプレゼントをくれたりしてくれる。今までのゲームにこんなことあっただろうか?しかも、わざとらしく用意されたイベントとは思えない。あなたが見たその会話は、もしかしたら見ることはなかったのかもしれないのだ。こうした、自分の行動が世界に反映されていくのを見て取れるというのは、このゲームを評価する上で大きい。NPCのAIやグラフィックは飾り付けの部分であり、こうしたレスポンスが最も世界としての存在感を際立たせているのだ。

ロックスターが大好きなのもあるだろうが、彼らのマップへのこだわりは尋常ではない没入感と一体感を与えてくれる。私は彼らのゲームは全て最高の雰囲気ゲーだと思っているのだ。ゲームの外側ではなく内側で遊んでしまう、お使いに留まらないサイドミッションはまるでメインストーリーのようだし、そこに名誉システムと、分岐する選択肢も合わさって、自分(アーサー)というプレイヤーの再現性を高めている点も忘れてはならない。雰囲気ゲーというと、風ノ旅ビトや人喰いの大鷲トリコを思い浮かべる人がいると思うが、そういう類のものとはまた違う意味だ。これらのゲームは異世界(非現実)の雰囲気を再現し、ゲームとしての芸術性や美しさを見せている。RDR2は現実世界への追求の上に成立する西部開拓時代の雰囲気ゲーという意味だ。

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重要なことだが凄い=面白いわけではない。現に何兆もの星へ行けるノーマンズスカイや開発速度が異常なアサシンクリードシリーズは私はハマれなかった。しかし今作では、事前にあった細かい凄さを圧倒する物量でカバーしている印象を受けた。メインストーリーはとっても長いし、サイドミッションやランダムミッション、魚や動物の種類の豊富さがカバーをしている。単純にゲームとしてリッチであり、継続性が高くなってしまうのも無理はない。武器の細かさもミリタリーなファンには堪らない部分であろう。それらもなんどもいう通り時間と金がなせる技だ。

 

べた褒めするなら止まらないが、気になった点を少しだけあげて総括に移ろうと思う。

今作の手配システムはRDRを踏襲しているが、理不尽な手配が多すぎる。街中で振られた喧嘩を買って最初に殴られたので殴り返すと、自分で射殺されるということがよくある。これはリアリティを追求するのであれば、違和感を覚える点であるし、やられたプレイヤーは不愉快である。スリに遭った時も同じく主人公だけが裁かれる。

ファストトラベルに関しても、値段を下げるか、道ゆく馬車の運転手に乗せてもらうことが可能になるなど、アプデなどで改善はしてほしい。最初に通る道は良いかもしれないが5往復くらいしている道は流石に飽きてくるし、見るものもほとんどない。

だが、これを肯定的に捉える考え方もある。街中で喧嘩を起こすようなこと事態がこの時代においてはアウトなのだ。突然理不尽な量のギャングに囲まれて蜂の巣にされることもある。だが彼らもなんらかの理由があって、主人公を殺しにきている。本気でアーサーを殺すのならば、人数がいれば殺せるのだ。プレーヤーはその度に、成長して行動が慎重になっていく、この時代において圧倒的マイノリティなギャングに居場所はないのだ。むしろ、治安の悪いようでは史実に反してしまう。皮肉なことに現代を映したリバティシティの方が手配は緩く、逃げ切れてしまうのだ。

 

まとめ

満を辞して発売されたRDR2ですが、期待値が大きかった分意見が分かれることは非常に自然なことだと思います。このリアリティな世界が彼らなりのアンサーでもあるし、11月から始まるオンラインも楽しみです。大人数で荒野を駆け抜け、十人以上の強盗集団で銀行を襲ったりできるなんて映画のようです。ただ懸念されるのはGTAで人が割かれてしまわないか? それと継続的なアップデートに魅力を見いだせるかどうか? です。車がない上に武器も似たようなものが増えてしまいがちのRDRで、どう売っていくのかが見ものですね。

RDR2、万人に勧められるゲームではとてもありませんが、時間がある人やGTAオンラインにどハマりしていた人は買ってみてもいいかもしれません。きっと素敵な体験が沢山できると思います。