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退屈は嫌いか?

なぜBF4は成功したのか? なぜBFVは死んだのか? なぜApexは失速したのか?

ゲーム業界にも夏が来ました。夏といえば夏休み、夏休みといえば「暇」これに尽きると思います。PS4の販売台数も1億台を突破し、国内でも会社や学校で自分の周りに持ってない人がいない人なんかもいるんじゃないでしょうか?

 

そんななか、PSStoreでは夏のサマーセールをやっています。

store.playstation.com

過去の人気タイトルから今年上半期を盛り上げた準新作まで盛りだくさんのセールです。私の予想だとPS4単騎では今年の夏が最後だと思っているので、SONYも売りきりたいのでしょうね。

 

そんな中、BF4がDLC全部込みで451円だったので買ってしまいました。私は過去PC版で購入し、人生で一番マルチプレイをやったのはおそらくBF4だと自負できるくらいやり込みました。

すでに古すぎるタイトルのためサーバーの数は少ないものの、まだまだモードを固定しなければ遊べる状態でした。久々に遊んでみて思ったのは

「BF4面白い!! 別ゲーやんけ!!」

ということです。そしてBFVのアップデートがあったので並行して遊んでいて気づいたのは

「あれ? BFVも結構捨てたもんじゃないぞ…?」

という意外な点です。最近ではBFVはユーザーの要望を無視し続けるトンデモ運営とありとあらゆる機能の実装の遅さやバグの放置などで飽き飽きしていましたが、根底となる打ち合いやシステム面ではBF4からはやっぱり進化していますし、場合によってはBF4より面白い試合も結構あるような気がします。

 

 

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思い出補正って怖いんだなぁ

BF4も3年にも及ぶアップデートはあるものの完成された面白さがあります。豊富なガジェットと大量の兵器とビーグルで敵に攻め込み、スポットと発砲時の赤点で立ち回りや操作面もBF1以降と大きく異なります。

ただ人対人となると無双できるのはBFVの方が継戦できる気がします。打ち合いもチックレートのせいかBF4は当たっている感じがしないのに対してBFVはしっかりとヒットしている感覚があります。

 

目次

 

 

 

 

温故知新、BF4を見直して再度わかるBFVの失敗

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圧倒的に同じ名前を冠してはいけないレベルで別のゲーム

 

① プロゲーマーに愛されたシステム

www.youtube.com

 BF4が盛り上がりを見せた理由の一つに「競技性の高さ」がある。FPS好きならご存知ダステルやKUNはこの作品を機に活動が活性化した。

弾抜けやバグなどが発売当初はあったものの、BF特有のビーグルを交えたコンクエストに重きを置いた試合も、ガンマスターやドミネーションのような歩兵戦でも両者が楽しめるバランスに仕上がっていたように思える。

現代兵器というレートの高い武器、豊富なガジェットとストレスフリーな操作感、スポットと発砲赤点という戦略性と緊張感を生む新鮮味、それらすべてがBF4全体の競技性を上げていたように思えます。

 

Apex  Legendsを見てもわかる通り、今日においてオンライン対戦ゲームの寿命=ストリーマーに愛されているかどうかに比例することは常識と化しています。フォートナイトやPUBGがいまだに大会や盛り上がりを見せているのはTwitchやYoutubeで配信をする人間が沢山いるからです。配信したいと思えるゲームシステム、プロゲーマーが面白いと思えるシステムにすることは「Eスポーツに媚びたゲーム」とバカにされることはありません。むしろ純粋に「面白いゲーム」と世間的に言われるのです。

 

では、どのようなゲームがプロゲーマーに愛されるのか? という問いに対しては

「スピード感」「思った通りのプレイができる」「見ていて面白い」

ということがTwitch上位の共通点として挙げられると思います。

BFVには大戦モノの性かもしれませんがリアリティ重視で圧倒的に戦闘のスピード感が減っていますし、よくわからない岩に引っかかったり、敵が見えにくかったり、弾薬が少なすぎ、体力が衛生兵以外全回復しづらかったりと、思った通りにプレイできません。必ず味方全員の行動が勝敗を左右します。

見ていても戦況が傾いてそこの旗に向かい敵を撃っているだけで、新鮮味のあるプレイや意外性のある試合に出会える頻度は非常に低いです。BF4ではヘリコプターがあるおかげで意外な場所から裏どりができたり、豊富なガジェットで戦略勝ちする盤面が何度もあって見ていても面白いですし、動画にしても面白いです。

ぱっと見の絵(V1ロケットの落下や戦車や航空機のサウンド)は盛り上げていますが、雰囲気=面白いではないです。(重要)

 

②意識しなければならない協力の分母

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BFのジレンマ

戦争をしている感覚はBF4の方に軍配が上がる、コンクエストやガンマスターなどもBF4の方が圧倒的に楽しいです。ですが、打ち合いや戦闘のシステムはBFVの方が圧倒的に遊びやすい(小高い場所に登れないBF4の兵士は結構イライラする)

なのになぜ遊んでいて快感に感じる回数が少ないのか、知らず知らずのうちに人がApexに流れていったのか?

オンラインゲームヒットの秘訣に協力の分母があると思います。PvPで協力する要素は必ず出てきますが、DbD、バトロワ全般、虹6S全部見ればわかる通り総合対戦人数はさておいて自分の協力する人数が少ないことがわかりますよね?

 

対してはBFVは32人も協力を強いられています。分隊内でも思うように行動しない人がいるというのに、32人もいたら自分一人の責任は軽いように見えますが、BFVは先ほども言った通り味方全員の行動が勝敗を左右します。協力を強いているシステム(弾薬が少ない、分隊内の蘇生、ほんわかスポット、回復少ない)なのに、自分が勝利にコミットできる割合が少なすぎます。

 

だから結論としてはBFVは協力を強いたシステムだがPTに繋いでも32人PTでもしない限りは面白くないというのが言える。

どんなゲームでも野良にはイライラする機会が何度かあると思うが、BFVはその比重を高めてしまっている。チームが何も考えていないなら絶対に勝てないし自分も殺されまくる。30人を超えるチームがゲームシステムを理解し、かつ考えて動いている &敵チームも同じような条件が揃って初めて開発者の考えていたゲームが再現される。

しかし非常に残念なことに、PS4版だとそんな試合は10試合に1回あるかないかぐらいだ。そりゃ人はいなくなる。

協力の分母を大きくしすぎたことが、PvPとして致命的に面白くない要素だと思う。大概の人間は野良で遊ぶのだから、野良でも楽しく遊べるようにできていたApexは非常に優秀だったと思うし、そのシステムを即座にフォートナイトもディヴァートしたのは見事だと思う。

 

 

 

③意味のある破壊表現の衰退

BFはシリーズを追うことに破壊表現が進化しているのは有名だが、BF1からの破壊表現は同じスタッフが関わったとは思えない(実際関わっているのかは知らないけれど)くらい演出の一部で止まっている。

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発表当初は衝撃が走った

BF4の破壊表現には意味がある。代表的なのは上海マップの高層ビルの倒壊である。見た目的に派手なのもあるが、C拠点そのものの攻略方法が変わる。

他にも普通に点在する3階建の建物が現実的に倒壊していくのも見もので、倒壊した後も瓦礫の隙間を潜ることができたり、階段や岩壁を利用して新たな障害物として利用できる。単純に建物内の芋を殺すだけではない構造が出来上がっているのだ。

 

BFVにはそれがない。確かに木造建築の壁の剥がれ方や、倒壊はリアリティがあるが、崩れた破片や屋根は吹き飛んだあと消え去ってしまう。後に残るのは隠れる場所もない階段と中心の大黒柱だけで遠距離からスナイパーで抜かれるだけである。

開発陣としては「壊れても建築システムがあるから大丈夫‼︎」ということなのかもしれないけれど、建築しても一瞬で爆発物で吹き飛ばされビーグルに踏み潰される。かかる時間に対して得られる効果が薄すぎるのだ。組み立てる5秒よりも遠くの敵を狙い撃つ5秒の方がよっぽど楽しい。

是非とも二度と「建築システム」は採用して欲しくない。もし採用するならもっと画期的で意味のあるものにしてほしい。現状では何を狙ったのかわからないシステムだ。

 

ポストBF4を囁かれている「COD :MW」は見事なまでにBF4に寄せた作り(100人対戦という規模だけで見ればBF4を大きく超えている)に仕上がっているが、破壊表現までは表現されていない。あくまでおまけ的な要素になるかもしれないが、BF4の実銃から録音した銃声と、火花、砕け散る壁と激しいマズルフラッシュが、プレイヤーの心を揺さぶっていたのは間違いない。

 

 

 

④盛り上げ方、アップデート

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 ご存知「嫌なら買うな」発言やファーストトレーラーがユーザーの期待値を上げるものではなかったという不穏な印象を最初に与えてしまったこと、発売日がずれ込み激戦区のRDR2などど競合して「BO4」に話題を完全に持って行かれてしまったところなどがBFVの初動が悪かった原因としてよく言われています。

しかし、その後のアップデートも精力的にはやっているものの、ユーザーの期待値を超えられているかというとそうではない気がします。

 

BF4は中国VSアメリカというストーリー構造上、中国国内での発売が禁止された背景もあってチーター対策がシリーズの中でも比較的軽く済んだという事案があります。BFVはそうじゃないから仕方ないのではなく、チーター対策、報告システムがしっかりと機能させるべきです。バトルパスを廃止した代わりと言ってはなんですが、追加されるコンテンツの質はBF4の方が火を見るよりも明らかに高かったです。継続的なアップデート、夜戦やイベント戦のような期間限定的なものの盛り上げ、これらの質がことごとく低いのが、ただでさえスタートダッシュに失敗しているBF5にはできなかった点といえます。

 

 

 

 

 

失速するApex

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Twitchの勢いは一時期PUBGやFortniteを抑えた

今日のFPSの勢いを示す一つの基準として、Twitchのストリーマーがどれだけ取り上げるかが持ち出されるが、面白いくらいにプレイ人口に比例していることがわかる。

Apex Legendsはゲリラ的に今年の初頭に登場してから、無料という間口の広さもあってプレイユーザーを伸ばした作品だ。しかし、基本的に右肩下がりでTwitchの勢いは減っていっている。PUBGやFortniteには連敗しているし、イベントのあるタイミングではBO4にすら負けてしまう。原因をピックアップしていこう。

 

 

★コンテンツの企画量で負けているから

バトロワの火付け役であるPUBG、対応の早さとイベントの量が無料とは思えないFortniteに勝てる方法はこれしかないのだ。

七月初頭のシーズン2からEAの株価が下がったのは、コンテンツが期待外れだったから。即ち世間はシーズン2を1から少し改善した程度のバトルパスでは満足できなかったのだ。チーター対策で追われているのは分かるが、コンテンツの企画力は圧倒的にFortniteの方が面白い、そしてApexがランクマの導入のように、競技性を高めていく一方で新参を殺していくのは目に見えた未来である。

あのランクマシステムのような住み分けの他にも、アセットの使い回しでガチャガチャできるコンテンツがあると非常に強い。例えば旧キングスキャニオンでゾンビモードのようなCOOPを期間限定で入れてクリアすると限定スキンが手に入るようにしたり…

現状の遊びの幅の狭さが、飽きを生んでいる原因のように私は思える。

 

 

★キル/ダメージがほしい=チャンピオンじゃなくても良い

Apexが人々に中毒性を持たせている理由の一つとして、バナーのバッチがある。

2000ダメージや20キルの爪痕などを自分のカスタマイズしたバナーに貼り付けてチャンピオン部隊としてドヤァできるのが醍醐味でもある。

ただこのバッチシステムのおかげで、チャンピオンをとる(Apexになる)よりもキルとダメージが欲しい人々が増えてしまっている。なぜかこのゲームは他と違って芋っている人が少ないように思える。銃声が馬鹿でかいのもあって、聞こえたらすぐさま飛んでいき殺害する人々が多い。PTなんて繋いでいたら確実に漁夫をしにいくだろう。

 

折角優秀なコモローズ機能で野良でもキーボード入力なしでコンタクトを取れるように仕上がっているのにも関わらず、ゲーム性が全くといっていいほど野良が楽しくない方に向かっていってる。

オンラインゲームにおいて野良というのは人口を維持する肝だ。PTを繋げば大概のゲームは楽しいが、PUBGもFortniteも一人で遊ぶ楽しさが人口を繋いでいるとは思う。協力してしまうとどうしても先ほど言った通り「協力する人数」が増え、個々の遊び方にズレが生じていってしまう。現状の絶対に3人でプレイしなければならない状態は長くは続かないだろう。

私としては単純にチャンピオンを取った時の報酬を経験値として今はランクマに導入されているが、もっと大きくして良いと思う。エリートマッチの時は接戦を避け皆確実に勝てる状態でない限り戦いを避けていた。ApexLegendsがどっちの道を歩むのかは知らないが、バトロワの「初心者でも運があれば勝てちゃう」みたいな感覚が今のApexには少ない気がしてしまう。

 

 

勢いを見せるCOD:MW

時を同じくして今年の秋に毎年恒例のCOD新作が発売される。すでに様々な人が記事や動画で語っているが、今年のCODは現代戦でBFのような大人数対戦もあって、グラフィックも向上するという大盛り上がりを見せそうな出来になっている。

というかCODは毎年、どんなに不評をもらおうと一定以上の盛り上がりは見せるので、今年も秋は盛り上がること間違いなしだ。プレイ動画を見れば分かる通り、BF4を意識したかのようなシステム(乗り物や弾薬箱を確認)で、激しいリコイルの制御などが確認できた。完全にBFの売りの一つである「大人数対戦」にも手を出しており、すでに死んだ魚のような目をしているBFVに追い打ちをかけることになりそうだ。

彼らはそこにメトロのマップや太平洋戦線を重ねているが、完全にタイミングが遅い。おそらく彼らは秋にCODが出ることは知っていて、この大型コンテンツを秋に予定したのかもしれないが、完全に不発弾である。

「太平洋戦線出るからCOD買うのはあとでいいかな」となる人は果たしているのだろうか? 夏くらいに配信して「BFV面白くなってきたからCODは年明けくらいでいいや」というのはまだ自然で分かるが、直接対決するにはあまりも求心力が弱すぎる。

 

私はどんな盛り上がりを見せようとCODを人生で買うことはもうないと思うが、箱を開けてみたらというのが毎年起こるので今年も年末にどうなってるかはわからない。すた時をLAに変えたことで今後BFが回復の兆しを見せる可能性も私個人としては全然あると思っている。BFの特徴として発売当初とアップデートを重ねた最終バージョンは別ゲーになっていることが結構あるので、今後のアップデートによってFPSの趨勢が変わることもある。

 

最後に願いを言うならばCODとBFは基本無料にせず、今のスタイルで売り続けて欲しいと言う点と、BFにはARMAのようなリアリティではなく地球防衛軍的なおバカなノリが少し欲しいと思っています。