【何が凄いのFF7】分作としてリメイクしたいスクエニの本懐
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世界を震撼させた伝説のE3 2015ソニーカンファレンスから5年が経ち、ようやくFF7リメイクの発売日も目前に迫った今日。
1997年に発売された本作は、当時珍しかったフル3Dの戦闘やキャラクター、魅力的な登場人物や世界観なども好評を得て、全世界で単体で1000万本以上を売り上げる初代プレイステーションのキラータイトルです。
その後も、何度も移植や映画、世界観をそのままにしたクライシスコアなどの作品も作られており、スクエニ(旧スクウェア)にとっても、シリーズの重要なタイトルになっていました。
当時のCMでは、黎明期であった3Dをフルに使っていることがプッシュされた
目次
ソニーにとっても、スクエニにとっても大切なタイトル
ff7というのは、魅力手なストーリーや伝統的なファイナルファンタジーというブランド力によって人気を博したというのも確かに無いとは言い切れませんが、それ以上に技術的に当時のゲームの中では群を抜いてグラフィックが美しかったというのもあります。
PS1の時期は、3DCGという環境に開発がついていけてないことも多くあり、性能的には可能だが、技術的に資金や時間がかかりすぎてしまうということで、多くのデベロッパーは本格的に乗り出せていない時期でした。
そんななかプレイステーションという当時ソニーから出された異色のハードで「あの」ファイナルファンタジーシリーズの最新作が出るということで、波紋を呼びました。
任天堂ハードから出続けていた本作が他社でナンバリングを出すというのは今作が初めてですし、その後のナンバリングタイトルは全てプレイステーションが優先的に発売されている事実があります。
このFF7という作品はそういう意味で両社にとって思い入れのある作品ですし、そうとう気合を入れて作ったことは間違いありません。なによりもソニーにとっては、プレイステーションブランドが確立できた一つの大きな瞬間を形成したとも言えます。
その記念すべき作品をソニーカンファレンスでサプライズ発表できたという点において、多くのゲームファンを魅了できたことは間違いないです、
後にも先にも、主要キャラの後ろ姿だけで、タイトル文字も入れずにロゴだけで、ここまでフルリメイクが歓迎される作品はないと思います笑
実は知る人ぞ知る、2012年時点でスクエニの和田元社長の発言にこんなことが書かれている。
【スクエニ側の過去のコメント】
2012.06.26時点
株式総会にて
和田社長「FF7リメイクは7を超えるFFを作ってから」
・FF7の人気は高く、社内でも何度かリメイクの話があったが、コンピレーションで一区切りだと思っている。
・ FF7は海外のどのスタジオに言っても神ゲーとして尊敬されている
・FF7リメイクは開発スタッフは大喜びでやるだろうが、やるとしたら本気で取り組まなければならない。
・FFはブランドコントロールが難しい。
いまのところ、FF7を超えるFFは正直作れていない。この状態で、いま7リメイクを出したらそれでFFは終わってしまう。
FF7を超えるFFを作れていないと作れないという理由で出ていなかったのです。では直近で出たFF15や14、13がFF7を超えられているのかというと、少し怪しいと思います。
それでもこの3年後のE3で発表に踏み切ったのはワケがあると思います
・FFXVで逆にブランドに終止符が打たれかねなかった
・そもそもスクエニ自体がHD時代になってから開発ペースの遅さや販売本数の不調が目立ち、起死回生の奥の手を使わざるを得なかった。
・社長が変わった新体制の一歩目としてセンセーショナルなフラッグが必要だった
出せば必ず売れる、しかし作るには社を上げて全力で作らなければならないというタイトルでもあるので、相当大きな決断だったことは間違いないです。(おそらく2015年時点では殆ど作っていないとは思いますが)
シリーズとしても大きな進化を遂げたFF7
FFシリーズというのは愛と死をテーマにした重厚なストーリーと、シリーズ毎に考え寝られた独自の世界観や設定がとても魅力的なシリーズと言えます。
またドラクエとほぼ同時期に始まった同作では、FFVに至るまでは中世ヨーロッパ風の世界観が描かれており、それは今シリーズで音楽を手掛け続けていた植松伸夫氏の音楽にも反映されています。
しかし、FFVIからはそういったイメージから脱却し始め、FFVIIではついに未来の薄汚れた年から始まるという大胆な世界観の変更がなされており、ユーザーに驚きを与えたまさに意欲作です。
FFVIでは冒頭で「全てを焼き尽くした魔大戦が終わったとき、世界から魔法という力が消え去った」「そして1000年…鉄、火薬、蒸気機関、人々は機械の力を使い、世界を蘇らせた」とあります。いわゆる電気のない機械文明です。
とはいえFFVIにもいままでにあった、クリスタルという世界を司る力の源泉や飛空艇など、機械文明というリアリティーの土台の上にはしっかりとした空想的要素が存在していました。
それに比べると、FFVIIの象徴の魔晄炉は(科学)と(空想)が入り交じる存在であり、魔晄炉が生み出した電力で世界の人々の多くが生活を送るなど、いわば「サイエンス・フィクション」に近い描かれ方をしている。今作で主人公に敵対するのは魔王でも神でもない「巨大企業」というのも忘れてはならない。より現実的かつハードな世界へ移行したと言えます。
ストーリーに関して細かいネタバレは避けますが、今作も野島 一成のストーリーテラーは当時としても今から見てもてテレビゲームのストーリーの中ではかなり先進的であると言えます。
ミッドガル編における、魔晄エネルギーを牛耳る巨大企業に抗う者たちの物語に始まり、魔晄エネルギーの恩恵を受ける人々、エネルギー革命の中で選択を迫られる人々、ゴールドソーサーの華々しい景色、そして恩恵を受ける世界の中で犠牲になった人々がいるということを、プレイヤーは目の当たりにしていきます。
このゲームのさらに興味深い点として、このゲーム自体は自然讃歌や文明批判を行いたいわけではなく、それぞれの登場自分が抱える価値観や視点を使って「命とはなにか」を取り上げている点です。激動の時代の中で、登場人物たちはそれぞれに悩み、傷つき、痛みを抱えたまま、自らの意思で自分の道を模索し続けています。
命は星であり、人であり、また街や景色とも言えます。そういった重厚なテーマに踏み込んでいるのも今作の魅力と言えます。
同作の音楽を務める植松伸夫氏のミュージックも、かなり今までと雰囲気の違う曲が多く、リメイクの体験版を通して思ったのは今も色褪せない名曲が揃っている点にも注目です。リメイク版のCDも先日発売が決定し、驚愕の7枚組になっているそうなので、ほしい方は是非お早めに予約をしておくことをおすすめします。
私は全てのFFシリーズをプレイしたわけではないので恐縮ですが、正直作品ごとにストーリーや世界観のパワーバランスが大きく違うような気がしてしまいます。
よく叩かれてしまうFF13やFF15のストーリーがだめなのではなくて、それまでのストーリーが良すぎるのが問題だと思います。世界の様々な現象に「なぜ」と問うときに徹底的に作り込まれた背景が、プレイヤーに没入感を与え、なんとなく感動させるのではなく、計算された感動を与えることができるのです。
名作と言われるXやVll、IXにはこういったロジックが強固に作られており、決してありきたりではないストーリー展開が今もなおファンを魅了していると言えます。
故に本作を初めて遊ぶ方には、是非ネタバレや動画などを視聴せずにその目でストーリーを追ってほしいですし、リマスター版もPS4やスマホで遊べるのでグラフィックに抵抗がなければ、すぐにでも遊んでほしいですね。
分作のメリットはユーザーには全くと言っていいほど無
スクエニはもっと今作がミッドガル脱出までの分作であることを伝えるべきだと思う。
すでに多くのメディア(雑誌やゲームイベントでのレビュー)で話して入るものの、ゲームを普段からやるファン出ない限り、そんなものは見ない。
テレビCMや周囲の人の口コミでぽんと買ってしまうことも多い。それなのにいま出ているCMだと完全に全部遊べそうな雰囲気が漂っている。
分作にNegativeなイメージを持ってほしくないのかもしれないが、クリエイターインタビューで「原作だと約5時間分ではあるが、一本の作品として相応しいボリュームに仕上がっている」と述べていた。ということは最低でも20時間から30時間くらいは遊べてしまうという期待値はあってもよいわけだ。
それだけ自身があるなら、堂々と発表してほしいですよね。
なんならタイトルをFF7-1とかにしてしまえば良いのに…
分作にするメリット
・分作にすることで、話題を長く継続させることができる
ソニーにとってもスクエニにとっても、大切なタイトルだからこそ話題性があるタイトル。これを一回で終わらせてしまうより、数年ごとに出せば、その都度売上が見込めるし、各種イベントを行いやすいということもある
・一つ一つのタイトルを細かく作ることが可能、ユーザーの様子見も可能
ゲームを開発するごとに予算が下りるのが開発者の常だが、おそらく今のスクエニにFF7を最初から最後まで、あの体験版のクオリティでリメイクする資金力が出づらいというのはあるだろう。
当時のFF7の開発費は140億以上と言われている。当時のスクエニは世界有数の技術を持った企業であったし、売上本数も今の比ではなかったので可能だったが、最初から最後まで、300億くらいかけないと、当時のような驚きは現代で起こせないと思います。(RDR2参考)
大ゴケしたときの保険も兼ねて分作という形に踏み切っているのは間違いないです。ユーザーの反応を見ながら、その次の作品の予算が変動しそうではありそう。
分作にするデメリット
・引き継ぎどうするの問題
例えば、クラウドのレベルやアイテムは次の作品に引き継がれるのかとか、今まで遊んでいなかったユーザーはFF7-2とかから遊んだらストーリーが全くわからないんじゃないかとか、の問題。
もし個別のステータスで、それぞれ乖離した分作ならば「自分が見てきたクラウド」という感覚は薄まってしまうと思います。例えば今作で選んだ選択が次作のイベントに影響を及ぼしたり、上げたレベルが下がっていたりしたら少し残念な気はしてしまいます。
・今後のスケジュールがほしい
そもそもこういった大型タイトルのリメイクで分作で発売するというのが異例のケースなので前例はないですが、オンラインで継続的なコンテンツアップデートをするタイトルは、ほとんど今後のスケジュールのようなものを発表しています。
スクエニにも是非、大方決まっているであろうFF7-2がいつ頃の発売を予定しているのか、そして何作品に分かれるのかを知りたいというのがユーザーの願いなのは間違いないです。
おそらくFF7-2は1よりも開発期間は短くなるはずです。キャラクターのグラフィックはある程度完成されている上に、開発チームもアンリアルエンジンの環境で慣れ始めているのもあります。
もし、次作はまた5年後とかであれば、ユーザーの関心はかなり離れてしまうので、タイトなスケジュールであることを望みます(待てて一年半)
・どうせ纏まった完全版が出る問題
分作ではないですが、同じスクエニでキングダムハーツシリーズがPS3のときにHDリマスターとしていくつかに分かれて発売されました。
PS4になって一つの完全版となり、2.8や3が一つになったオールインワンエディションなんかも出ました。
おそらく今作もPS5になるのかPS6になるのかは分かりませんが、複数枚のディスクが入った完全版が出てもおかしくはないと思います。
「じゃあ最初から出せよ」って絶対言われるので出さないという見方もできますが。
というように、今作を分作にしたことは決してユーザーのことを考えているとは言い難いので、スクエニとしてもプッシュしづらいのでしょう。
ただゲーム業界では異例なことですが、映画業界や出版業界ではふつうのコトでもあります。今回のスクエニが、ゲーム業界で分作のスタンダードを作るのかもしれません。
ファイナルの名を名乗るなら世界一を目指してほしい
ファイナルファンタジーの名前の由来は諸説ある。初代を開発当時スクウェアの経営状態的に最後の作品になるという意味合いのファイナル、FFという略称を作りたくて逆算したファイナル、究極という意味でのファイナルなどなどあるが、「ブランドコントロールが難しい」と嘆いていた和田氏の答えを大切にしてほしい。
スクウェア(現スクエニ)の技術的な驚きはFF12あたりを皮切りに衰えたイメージが有る。ファミコン時代はバグを使って飛空艇を処理したり、それこそプレイステーション初期では驚きのグラフィックを見せていた。
現在、世界最高のRPGと言われているのは、海外メーカーであるベセスダの送るスカイリムやCD Projekt RED社が手掛けるウィッチャー3など、ベクトルは違えど同じRPGとして大きく引けをとっている。
もちろんゲームユーザーもそういったゲームに慣れ親しんだ人も多い。今作で久々にゲームをする人には驚かれる、というのではなく、往年のゲームファンも頷かせるような「当たり前」を丁寧に作って欲しい。(登場人物全員がフルボイスとか、グラフィックスは必要十分とか、見えない壁がないとか)
体験版の評価は概ね好調であるし、期待値は超えてきている。不安視されていた戦闘もRPG寄りで緊張感があって楽しい。最後の不安としては体験版終盤の演出がオリジナルから変更されていたこと。
国際情勢的に操作キャラ(プレイヤー)がオリジナルと同じ行為をすることは難しいのかもしれませんが、プレイヤーが遊びたいのはFF7のリブートではなくリメイクなので、演出の変更が今後のストーリーに影響を及ぼすということだけは避けてほしいですね。