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退屈は嫌いか?

任天堂スイッチの表面上の成功と、中長期的な失敗を繰り返す限り苦しみ続ける

任天堂はゲーム業界で苦戦を強いられている。それはファミ通のソフト累計販売本数や、単純なグラフの勢いだけで見れば非常に良いものに見えるが、状況としてはWiiUとなんら変わらない。

 

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ポケモンにどう森が確定しているスイッチだが…

 

 

★直近のニンダイと2019年全体でみる息切れ感

スイッチは息切れしている。スイッチは弾切れを起こしている。

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化石のようなゲームをリブートして任天堂ダイレクトで超ビックニュースのように扱っている。これは非常に見ていて苦しかった。

確かに、名作ゼノブレイドがHD画質で蘇ったり、もう二度と遊べないとまで言われていた「Moon」がまさかのスイッチに移植されたりと、目を引くタイトルは出ていたが、移植やリメイクは「スイッチ持ってるしやるかな」とはなるかもしれないが、そのためだけに本体を買う人の促進にはならない。

 

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WiiUにあった不満点を解消した事実上の完全版

2019年全体に関しても、「スマブラSP 」と「スーパーマリオメーカー2」でスイッチの話題というかシェアが続いていた印象が拭えない。もちろん、ASTRAL CHAINやドラゴンクエスト11Sなど魅力的な独占タイトルを持っているが、どうしても任天堂タイトルが強すぎるのと、告知に力を割きすぎている気がする。

 

WiiUが失速した課題の一つとして、サードパーティータイトルを囲えていないと言っていたのに、解消する気がまるで感じられ無い。

初期のタイトルが少なかった時はインディータイトルが売れるブルーオーシャンということで、話題を呼んでいたが、次第に大型タイトル(主に自社)や他のインディーゲームの参戦で競争が激化すると、ブルーオーシャンとは言えない状況になってしまった。

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インターネットでは、ほぼ毎日といっていいほどニンテンドースイッチ向けタイトルの発表を見かける。こういった光景はこれまでの任天堂プラットフォームでは見られなかったものだ。一方で、ニンテンドースイッチは据え置きと携帯ハードのハイブリッドデバイスであるものの、そういった機能を持つがゆえに他の据え置きプラットフォームと比較するとスペック上の制約がある程度は存在すると言われている。それゆえに、最新のAAAタイトルなどがいまだに同時発売されない現状もある。しかしながら、今回のインディーゲームタイトルの成功報告からわかるように、ニンテンドースイッチだからこそ切り拓ける、小規模サードパーティを巻き込んだ独自の道が生まれつつあると考えることができるだろう。

 

 

考えても見てほしい、ハロウィンにリリースされる「ルイージマンション3」、来月発売される「ポケモン ソード/シールド」、来年の「どうぶつの森」、そしてはるか未来に発売される「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド2」

現場発表されている本体を促進するほどのタイトルはこれくらいしかないと思っている。新作としてあり得そうなのは「リズム天国シリーズ」「バンドブラザーズシリーズ」「零シリーズ」くらいだ。

非常にハード毎に出ている大型ファーストタイトルの残弾が少ない。来年度には次世代XBOXとPS5が確約されているのだ。つまり、まともに任天堂が戦える年末は今年しかないと言ってもいい。

来年以降は次世代機レベルのゲームで開発が行われていくために、ますます任天堂にサードパーティーが開発をするのは難しくなる(性能差が今の何倍〜何十倍になる可能性大)

 

 

 

 

★一定のライトユーザーとタイトルファンを抱える悩み

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明確な分断期はWiiか

任天堂のゲームは年末年始に強い。人が家に集まったときに遊ぶゲームは任天堂の十八番タイトルがたくさんある。

加えて任天堂のゲームは幅広い年齢になじみやすいデザインがされている。とりわけWii以降特に任天堂は意識的にかあまりゲームを遊ばない層のアプローチをかけている。

 

ゲームを売る上で非常に大事なのは「子供」及び「学生」の存在だ。大人はどうしてもゲームをやる時間が限られているのに対し、夏休みや放課後などの時間を持っている学生や子供は非常にゲームへアクティブなユーザーだ。

中高校生くらいであればゲームソフトを年に数本買うことができるかもしれない、小学生以下となると、年に2本買うか買わないかなんて家庭もあるだろう。任天堂ハードの購入者が全てが全て小学生と言いたいわけでは無いが、タイトルを数本所有してずっと遊ぶ人が多いと思う。

 

これの要因のもう一つの原因として、任天堂のゲームを遊びたくて買う人が多い。「マリオカート」「スマッシュブラザーズ」「ゼルダの伝説」「スプラトゥーン」などなど、任天堂でしか遊べないにもかかわらず多くのファンに愛されるタイトルがいくつか存在する。

それに加えて、最近はゲーム一本の中身が非常にボリューミーになっており、オンライン接続で世界中の人と対戦ができてしまうので、GC以前のように家に人がいなくてもある程度楽しめてしまう。これによってますますソフトの偏りと、自社タイトルのジワ売れが止まらない。

 

PS3でソニーがPS2の頃にいたライトユーザーをWii奪われたことは大きい損失だと思う。「どこでもいっしょ」や「サルゲッチュ」「ぼくのなつやすみ」と言った自社タイトルの寿命を早めたと共に、結果的にライトユーザーの大多数はスマホへ、ヘビーユーザーのいくつかはゲーミングPCへとその世代で移ってしまったため、任天堂・ソニー両者ともにできるだけマイナスを少なくする売り方を国内で繰り広げることになった。

両方とも囲えていれば、タイトルの拡充と共に、一定のCSの勢いも保てていたのではないだろうか?

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R.I.P サルゲッチュ

 

 

 

★2020年以降 任天堂の起死回生の一手やいかに

スイッチライトが発売されたが、あんなものは選択肢の拡充であって大きな一手のつもりはないだろう。

リングフィットアドベンチャーも変わり種、話題づくりとしては良いが、WiiFitのような革新性や汎用性は、あまりなさそう。

 

期待されているのは

  • バーチャルコンソール(GCやDSなど)
  • トロフィー機能(バッチ機能?)に似たシステム
  • 斬新な新規IP(スプラトゥーン的な)
  • 高性能な上位モデル
  • VRのような目新しい要素(任天堂ラボ的な)

どれもやはり、会心の一撃とは言えない。PS4が今世代を勝した理由の一つに「独占タイトル」が挙げられる。任天堂ならではなタイトルを増やすためにも、高性能な上位モデルは必要だと私は考える。

それこそXBOX ONEXレベルでも良い。上位モデルでマルチタイトルが狙えるのであれば貰えるものは貰っておいて損はない。このままではWiiの時と同じで初速が良くても息切れして死んでしまう。

そしてWiiUと続いて、このような任天堂の状況が長く続けば続くほど、次世代機がたとえ出たとしても同じような結末を辿ることは間違いない。もちろん任天堂なりのアプローチはわかるし、ソニーやマイクロソフト、グーグルとはまた違う形の会社なのもわかる。しかし携帯機市場に次世代が見込めない今、据置き市場で制するためには最低でも他ハードと同時期に同じゲームを発売できるような力が必要だと考える。

 

遠い未来の話になるかもしれないが、クラウドゲームが本格的に世界に浸透し始めたら任天堂は強いと思う。なぜなら性能はクラウド上でカスタマイズできるため、処理が大きいタイトルは値段設定を高めにし、処理が少ないゲームは価格を下げることができる。それらがオートマティックに処理される仕組みがまかり通る世の中ならば、また状況が変わってくる。

とはいえ今後10年近くは今の状況が続くと私は見ている。