ここ10年で大きく変わったゲーム業界。スイッチ新型やPS5のその先はどうなっていくのか?
FPS疲れ、広すぎるオープンワールド離れ、売れない家庭用ゲーム機、無料課金システム…ここ10年間で人々を取り巻く「ゲーム」というコンテンツが大きく変化したと思いませんか?
今回はここ10年で大きく変わったゲーム市場・業界を見ることで、今後のゲーム業界といまだに変化できていない企業の多い日本市場について考えていきます。
FPSゲームが大きく変わった
未だに欧米市場と比べると国内では人気の薄いFPSというジャンルですが、約10年前に爆発的なヒットを飛ばし、新鮮な操作感とオンラインマルチプレイの相性の良さが人気を呼びました。
あまりにもコンスタントに続編を出し過ぎたのか、似たようなシステムのゲームが出すぎてマンネリ化を呼び、2015年あたりから次第に新しい切り口でFPSを扱うようなゲームが増えていきます。
エイム力以外にも戦略性に大きく重きを置いたレインボーシックスシージや、人気を呼ぶキャラクターとそれぞれの特殊能力で撃ち合うオーバーウォッチ、100人で生き残りをかける運要素も絡むバトルロワイヤルなどなど、近年では単純な打ち合いにとどまらないジャンルになっていますね。
非常に面白いのは、FPSは良くも悪くもマウスとキーボードに最適化されたジャンルであるにも関わらず、ここまでコンシューマーでも遊ばれていることが驚きだったりします。
「凄い」よりも「面白い」を求めるようになった
10年前というとHDゲーム機の時代が到来しており、地デジ化なんかも進められていましたね。ハードの性能が上がったことで、映像的な美しさやどれだけ広い世界を作れるか?みたいなところに注力がされたゲームが多かったような気がします。
単純に物量やグラフィックスをPS2の頃よりも増やしたゲームが多く登場し、「綺麗だから」「マップが広いから」という、まさに市場は技術的な進歩の展示会状態でした。
しかし、近年ではどうでしょう。映像や広さは全体の色付けの1要素でしかありません。それよりも、常にプレイヤーを飽きさせない工夫や、遊んでいる時の心地良さのようなものを重視していますね。似たようなシステムには飽き飽きですし、容量が増えたことで、よほど時間に余裕がないと一年に何本も遊べる内容じゃなくなってきました。
実際、最近ではジャストコーズやデッドライジングなどのAAAタイトルと呼ばれていたものが、初週からご臨終したりしているのはこれが原因だと思います。スクエアエニックスなども、「凄い」でも足りてないのに「凄い」を目指して空回りしているのがここ十年のあの会社の失敗例です。実験作でも売れた10年前とは少し状況が変わっているのがうかがえますね。
フルプライスよりも課金で細く長く
ある意味、ファミコンから変わらない売り方で10年前まで売られていましたが、スマホを始めとする様々なジャンルでF2P(無料で遊べて課金ができるゲーム)が主流になってきました。
無料なので入口は広いですし、内容もフルプライスよりは少ないかもしれませんが、有料で少ない内容を広げたり、ゲーム内でもっと長く遊べるようになったり、キャラクターをパワーアップさせられます。しかし、この独特な売り方にセンスがないとうまいこと経営につながっていかないのも事実です。
基本無料は見た目以上に制作するための人材と開発費を注いで作られています。当たれば大儲け、外れれば大ゴケというレッドオーシャンが現在ソシャゲ業界で繰り広げられていますし、ユーザーもサービスがすぐ終了してしまうようなゲームに課金はできないのです。
フォートナイトを筆頭として、今後はF2Pもコンシューマーでも主流になってくると思います。しかし、忘れてはならないのは全員が無料で遊び続けてたら、そのゲームはサービス終了していまします。面白いゲームにはしっかりお金を払うことも大事だと思います。
インディーも全然話題になっちゃう。逆に大手企業は苦戦?
10年前は、巨額の資金を持つ大企業様に一個人や数名の開発員が勝つことはほぼありませんでした。 ところが、クラウドファンディングや、一般向け開発キットが出回るようになったりと、インディーにも開発しやすい環境となりました。
斬新な切り口やゲームデザインから、ユーザーをワクワクさせるようなゲームを売り出し、今ではSteamやスマホのアプリストアでは小さい会社や個人でさえも作ったゲームが並んでいます。
近年のAAAタイトルは開発費の高騰で「一発が外せなく」なってしまっている状況で、フットワークの軽いインディーは次々と弾を打てるのが強みとも言えます。作りやすさのPC市場、広げやすさのアプリ市場、そして優れたゲームはゲーム機市場に入ってきます。
ゲーム内部規制が大幅に強化
これに関してはここ数年の話だが、数年前まではパ◯ツゲーばかりが出るとも言われていたソニーが、最近になって急に表現規制を大きくかけてきた。
これに関してソニーは「国際基準に合わせただけ」と発言しており、今後ますます規制は強化する流れのようです。ソニーに限らず、ゲーム業界全体がポリコレ意識が高まっているようにも感じられ、そういった政治的な思想や国際社会の流れに娯楽の表現が今後巻き込まれていくかもしれません。
現在では緩やかな規制の任天堂も今後は強化する可能性は大いにあります。ゲーム機の規制は今後の死活問題に繋がるかもしれないので注意しましょう。
ゲームを遊ぶ場所は分散した
10年前といえばゲームを遊ぶ場所は、「ゲーム機」と「ゲームセンター」そしてアングラなとこで「パソコン」はあったが、Steamを代表とするPCのゲームストアが開かれ、さらに10万くらいあればかなりのゲームが遊べるようになった時代において、ゲーミングPCというものがアングラな世界からオープンな遊び場となった。
さらに多機能型携帯電話=スマホによって、通信の発生しないゲームを遊ぶことができるようになったり、OSを積んだTVだけでゲームが遊べたりできるようになった。
人々は場所や時間をを選ばずに遊べるスマホと、本格的でグラフィックスも現時点で出せる最高レベルの体験を味わえるゲーミングPC、手頃な値段で7年は遊べるゲーム機と用途や目的に応じて分散した。
ここで重要なのは独占タイトルだ。もはや、そのゲーム機でやる必要性を感じさせるようなレベルでないと10年前と違い人々は、お金を払わないのだ。「友人が持っている!」とか「このタイトルがスイッチにしか出ていないから」とかでも良いのだ。
いかがだっただろう、ファミコンやPS1のころと比べているのではない。PS3が出たてホヤホヤだった10年前だからこそ、今とは大きく違う流れを見つめ直すことができる。PS5やスイッチが出た後も、ゲーム機はしばらくクラウドゲーム化はしないと思うし、ゲームタイトルも、大型タイトルほど時間がかかるかもしれない。